マイクロマシン技術研究開発プロジェクト(1991-2000年) MMPJアーカイブ
PJアウトカム > 1. 背景および技術開発の概要
まえがき(総括)
1.PJの背景・技術開発の概要  4.1 技術の実用化
2.研究開発成果の概要   4.2 特許の出願・取得
3.研究開発成果の評価  4.3 ベンチャー企業の設立
4.産業波及効果    > > >  4.4 マイクロマシン展の活況
5.主要分野の成果波及と将来展望  4.5 国際標準化の進展

  プロジェクトの背景および技術開発の概要

(1)プロジェクトの背景

 「マイクロマシン技術プロジェクト」が平成3年(1991年)から10年間実施された。マイクロマシンの研究開発が始まった1990 年当時における国際的な環境では、わが国の科学技術に対して“技術ただ乗り論”が浮上していた。そのため国家プロジェクトの開発課題選定では基礎技術の研究開発重視の姿勢が強調された。更にこの頃、日米間の半導体摩擦が最高潮に達している時期でもあった。このような背景から、新規設定プロジェクトの目的をマイクロメカトロニクスの基礎技術の確立にした。

 これより先、1980年代後半に米国では半導体の微細加工プロセスを用いて作る、1mm以下の電気機械的製品の作製技術にMEMS(Micro Electro-Mechanical Systems:マイクロ電気・機械システム)なる名称が与えられて、その将来性が有望視されていた。一方、わが国でも携帯電話の開発に見るように電子機器のコンパクト化という、MEMSと同様の開発が進められていた。

 因みに、「マイクロマシン」なる語は前記のいきさつから、わが国で作られた言葉であり、これは単に微細(マイクロ)な機械(マシン)の意味に止まるものではない。それは「機械システム全体のマイクロ化」であり、マイクロな部品を製造する微細加工技術とそれを組み立てシステム化する技術の体系を意味する。

 この新技術が実現するならば、微小な医療器械や治療手段によって患者はより痛みの少ない検診・治療や、従来不可能であった病気の早期診断も可能になる。また、産業機器に適用されるならば、人間の入れない複雑で狭小部分の点検・修理も可能になる。さらには、日常生活の電気・電子機器に応用されるならば、それらの一層の高機能化、コンパクト化が進み、高度なユビキタス社会を形成することになる。したがって、この技術体系の確立は広大なフロンティア市場を開くことを意味する。

 このような背景から、本プロジェクトはまさに21 世紀のわが国経済を支える次世代産業の基盤を形成する主要技術の一つと位置づけられるものであった。

(2)技術開発の概要

 「マイクロマシン技術プロジェクト」は経済産業省管轄の産業科学技術研究開発制度に従って、平成3年(1991年)度から10ヶ年、予算規模約250億円で計画された。研究の実施期間は第1 期(平成3~7年度、5年間)と第2期(平成8~12年度、5年間)に分けられ、中間で研究開発方針の見直しを行っている。

 当プロジェクトは、その発足時点(平成3年)では、わが国の新規基盤技術の創出を目指した研究開発と位置づけられていた。当時、「マイクロマシン技術」そのものが、まだ萌芽期であったことから、特定の用途向けマイクロマシンの開発プロジェクトではなく、多様な用途の可能性を持つ、マイクロマシンシステムを実現するために必要な基盤的な要素技術の体系化を目指した研究開発としてスタートした。したがって、第1期(平成3~7年度)においては、内容的に要素技術の研究開発に主体があり、微小機能の要素技術、エネルギー供給技術、システム制御技術、評価技術の開発項目について、各担当機関が分担して推進した。

 しかしながら、第2期(平成8~12年)においては、産業科学技術研究開発制度の本来主旨である産業フロンティア開拓指向を反映し、かつ当時の低迷していたわが国の経済状況もあり、第1期の成果を踏まえ、下記のような適用目標を想定して、マイクロマシン技術の体系化を目指して、各要素技術のシステム化に重点をおいて研究開発を行った。
  • 発電プラント等の複雑な機器内部の狭小部における移動及び自立的な作業
  • 生体内の狭小部における移動及び自立的な作業
  • 小型工業製品等の部品の生産作業

(マイクロマシン技術に係るアウトカム調査報告書(2007年3月、NEDO調査)より)

一般法人マイクロマシンセンター  サイトマップ  センターアクセス  お 問 合 せ 
Copyright © Micromachine Center. All rights reserved.