Ⅰ 国内外トピックス
1 マイクロマシン技術の市場は確実に拡大
マイクロマシン技術の国内市場規模がどの位あるか、どの分野がマイクロマシン市場の大きなシェアを占めているか、関係者にとって大きな興味のあるところですが、この度、当センターでは、1994年、1997年に続いて3回目のマイクロマシン技術の国内市場規模を算出しました。
この結果、1994年時点と1997年時点で調査した市場規模は、それぞれ約1,400億円、4,200億円であったものが、今回2001年時点では5,900億円に拡大しており、マイクロマシン技術を用いた製品は確実に拡大していることが判りました。
産業分野で見ると、情報通信機器関連分野(1,628億円)、医療福祉関連分野(1,564億円)、及び自動車関連分野(1,510億円)が、マイクロマシン技術の貢献している大きな市場であることが鮮明になっております。
市場算出の方法は、マイクロマシン技術を使用しているある製品について、技術的な観点、性能の改善、製造コスト等、総合的な見地からマイクロマシン技術で置換し得る部分(関与部分)を推定し、この部分が製品価格に占める割合を関与率とし、さらにこの関与部分の中で、実際にマイクロマシン技術を使用している部分が関与部分の価格に占める割合をマイクロマシン化率(μM化率)として、この2つの係数を製品価格に掛けることによってマイクロマシン技術を使用した部分の価格を算出しました。
マイクロマシン市場規模の算出には、継続性のある信頼性の高い公的機関等で発行しているデータ(生産額、販売額)を用いて、次の方式で算出してあります。
マイクロマシン市場規模=(生産額または販売額)×関与率×μM化率
この調査研究は、マイクロマシン技術をベースとした産業統計を整備するため、「マイクロマシン技術の市場調査法に関する調査研究部会」(委員長 湘南工科大学
北原時雄教授)を設け、データ収集の方法などを検討するとともに、わが国の2001年の市場を算出したものでその内容については、次の表を参照下さい。
2001年のマイクロマシン技術の国内市場規模 |
単位:億円 |
項目 |
産業分野分類 |
プロダクト貢献型アプリケーション |
μM市場規模 |
2.1 |
情報通信機器関連分野 |
・磁気ディスク装置 ・光ディスク装置
・シリアルプリンター(インクジェット、熱方式)
・ページプリンター ・VRT/ビデオカメラ
・DVD-ビデオ ・ファクシミリ ・複写機
・磁気ヘッド ・超小型モーター ・光コネクター |
1,628 |
2.2 |
精密機器分野 |
・カメラ ・デジタルカメラ ・腕時計 |
607 |
2.3 |
計測機器分野 |
・SPM ・クロマトグラフィ ・一般科学機器 |
40 |
2.4 |
マイクロファクトリ分野 |
・産業用ロボット ・金属工作機械
・半導体製造装置 |
120 |
2.5 |
メンテナンス分野 |
・工業用内視鏡 ・非破壊検査機器 |
51 |
2.6 |
医療福祉関連分野 |
・生体現象計測/監視システム
・画像診断システム・処置用機器
・生体機能人体機能/補助機器
・治療用および手術用機器
・医用検体検査機器 |
1,564 |
2.7 |
バイオテクノロジー関連分野 |
・バイオセンサー ・μTAS適用可能機器
・コンビナトリアルケミストリ
・その他分離分析装置 |
133 |
2.8 |
エネルギー関連分野 |
・ウエアラブル燃料電池 |
0 |
2.9 |
環境関連分野 |
・環境計測機器 |
6 |
2.10 |
自動車関連分野 |
・センサ ・センサ外システム |
1,510 |
2.11 |
航空宇宙関連分野 |
・航空機 ・宇宙(衛星) |
87 |
2.12 |
生活文化関連分野 |
・アミューズメント ・家電 |
177 |
2.13 |
都市環境整備関連分野 |
・ITSインフラ |
7 |
2.14 |
農林水産関連分野 |
・食品機械工業 |
3 |
合 計 |
5,934 |
2 Transducers’03の報告
Transducers’03(The 12th International Conference on Solid-State
Sensors, Actuators and Microsystems)が、6月9日(月)~12日(木)に米国ボストン・Boston Marriott Copley Placeで開催されました。参加者は約1,100名で、一昨年の前回会議Transducers’01の約1,200名よりもやや人数が減っているものの、1,000名を超える規模は、全体として盛会でありました。参加者数が減った理由には、会議直前に流行したSARSへの感染の心配がありそうです。
発表件数は、全体会議4件、招待講演12件、口頭発表199件、ポスター発表271件の計486件、投稿論文数は960件で、採択率は48%でした。前回会議の発表件数が401件、投稿論文数が854件、採択率が47%なので、投稿論文数が増えた分、発表件数を増やしたものと思われます。投稿論文数は、
’97:641件、’99:826件、’01:854件に続いて増加の一途をたどっており、この点からはMEMS分野の研究がますます活発になってきていると言えます。
会議は、初日の全体会議を除きパラレルセッション(4セッション同時進行)で行われましたが、いずれのセッションも満室に近いものでした。特に人気が高かったのは実用化に近い技術についてのセッションで、パッケージングのセッションでは立ち見が多く見られました。今回の国別の発表件数は、米国が192件と最も多く、次いで日本が89件、ドイツ32件でした。韓国、台湾、中国などのアジア諸国からの発表が増え、MEMS研究の世界的な拡がりを感じました。また、分野別に見ると、発表件数が多かったのは流体関係でした。医療、バイオ、化学の発表にも内容として流体とオーバーラップする点が多く、この分野における進展が著しいものがあります。
今回の開催地ボストンは、この会議の1981年第1回開催地であり、22年間かけて一巡し、ひと区切りの感があります。全体会議の中でマサチューセッツ工科大学のS.
D. Senturia教授が「PERSPECTIVES ON MEMS, PAST AND FUTURE:
THE TORTUOUS PATHWAY FROM BRIGHT IDEAS TO PRODUCT」と題した講演をあり、この22年間の研究内容の変化を振り返り、同時に研究から産業化への移行の課題を技術、マーケットの両面から報告しました。MEMS技術の産業化は、今や産業界を含めた大きな課題であり、Senturia教授の広い見識に基づく講演は大変評判が良かったように思われました。
近年の傾向ではあるが、会議全体を通して、製品開発に係わる発表が非常に多かった。さらに今回は、MEMS技術を実際に製品に適用するにあたっての現実的な課題とその対策という観点での発表が増えてきたような印象を受けました。ミシガン州立大の「AIR-ISOLATED
THROUGH-WAFER INTERCONNECTS FOR MICROSYSTEM APPLICATIONS」はこの一例で、基板を貫通しての表裏面導通化技術を製品に適用する場面では、回路設計上、貫通配線容量が大きすぎることを取り上げ、この対策としてのエア・アイソレーションによる低容量化技術を報告していました。このような製品化・実用化に近い技術に人気がありました。
3 新聞記事
6月16日 日刊工業新聞
絶縁体にナノ量子細線:導電性付与に成功、新デバイス創出を期待;JSTが開発
科学技術振興事業団(JST)の「セラミックスの超微細秩序構造と機能発現」(研究代表・幾原雄一東大教授)研究グループは、セラミックスの結晶にナノ量子細線の束を導入し、電気を通す超高温透明セラミックスの開発に成功した。セラミックスという絶縁体中に高密度のナノ電導経路を導入するこの成果は、全く新しい素子の開発を提唱したもので、16日付の英科学誌「ネイチャー・マテリアルズ」で発表する。
6月16日 日本経済新聞
新薬の候補物質 有害性2時間で判定:肝細胞を活用;東大などが小型チップ
東京大学と神奈川科学技術アカデミーの共同研究チームは、新薬の候補物質の有害性を短時間で判定できる小型分析チップを開発した。生きた肝細胞が中に閉じ込めており、判定したい物質を入れて反応を見る。従来法で3~4日かかる判定時間を1~2時間に短縮でき、様々な化合物から新薬候補を絞り込む作業を大幅に効率化できそうだ。開発したのは東大大学院工学系研究科の北森武彦教授ら。分析チップはガラス製で縦3センチ、横7センチ、厚さ0.7ミリ。その一部が肝細胞の超小型培養槽になっている。肝臓には解毒作用があり、有害物質に対して反応する仕組みを利用する。
6月27日 日経産業新聞、電波新聞
風量計測感度10倍:オムロン、センサー開発
オムロンはわずかな気体の流量を感度良く検出するフローセンサーを開発、7月1日に発売する。感度は従来比約10倍で、秒速1センチ以下の微流速の風量計測が可能。微細加工技術(MEMS)を活用し、検知器の周囲に生じる気体の温度差から風量を測定する。医療現場での酸素や窒素の使用量やオフィスビルの換気状況の計測などの用途を見込む。2008年3月期には60億円の売上を目指す。
6月27日 日本経済新聞
ナノチューブ混合樹脂:強度や通電性向上;科技事業団が開発
科学技術振興事業団(JST)の研究グループは、ナノテクノロジーを代表する炭素分子「カーボンナノチューブ」を使い、高強度樹脂や電気を良く通す樹脂を開発した。樹脂に混ざりにくいナノチューブを、特殊な原料に入れて樹脂にした。発見したのはJST相田ナノ空間プロジェクトの相田卓三・総括責任者(東京大学教授)と福島孝典研究員ら。化学メーカーなどと共同で、年内にも実用化のメドをつけたい考えだ。研究グループはアクリル系樹脂の原料を使ったところ、ナノチューブを4%加えるだけで強度が4倍向上。通常の樹脂は電気を通さないが、ナノチューブを加えるとよく電気を通すようになった。成果は米科学誌サイエンス27日号に掲載した。
6月27日 日本経済新聞
微小な腫瘍 容易に判別:オリンパスが内視鏡開発
オリンパス光学工業は、初期の微小な腫瘍でもはっきり判別できる新型の内視鏡を開発した。気管支や消化器などに管を入れ、観察したい内部組織を発光させる仕組み。腫瘍部分だけが発光しにくく、浮かび上がる。順天堂大学など4箇所の医療機関で性能試験を進めており、装置を使いやすく改良して早期の製品化を目指す。開発したのは「電子内視鏡」と呼ぶ装置。先端に高性能の電荷結合素子(CCD)カメラや照明を取り付けた細い管を患者の体内に入れ、気管や腸などを内側から観察する。カメラで撮影した画像はパソコンで処理し、医師が見て判断する。オリンパスの装置は管の先端から青、緑、赤の3色の光を次々と組織に当てる。3色の光で撮影した画像を重ね合わせ、画面に腫瘍部分だけを強調して表示する。
6月27日 日本経済新聞
乳濁液の製造能力10倍以上:界面活性剤が不要に;京大が小型装置開発
化粧品のクリームやマヨネーズなど水と油が混じった状態の乳濁液(エマルジョン)を量産できる小型装置を、京都大学の前一広教授らが開発した。この装置は「マイクロミキサー」。3センチ角ほどの大きさだが、年間百トン規模の生産が可能という。直径0.4ミリの小さな穴が二つ開いたステンレス部品を何層も積み重ねた構造。下部から水と油を流し込むと二つの液体が乳液状に混合し、上部から出てくる仕組み。
6月30日 日経産業新聞
微細回路の壁面ナノ計測:光スイッチ・金型、高精度に;産総研など
産業技術総合研究所は自動化装置開発のエンジニアリングシステムなどと、微細回路の壁面の凹凸をナノメートルレベルで調べる技術を開発した。特殊な走査型プローブ顕微鏡の探針を使う。光通信の光スイッチや微小機械を動かす歯車作製の金型の精度を確かめる技術として売り込む。産総研の前田龍太郎グループ長らが、エンジニアリングシステムとセイコーインスツルメンツ(SII)の協力で開発した。SIIが「自己検知型探針」として販売する探針を使う。探針の先端が触れて形が変わると、内部を流れる電気の抵抗が変わる。電極をつなぐだけで表面のナノメートルレベルの凹凸を調べられる。0.3ナノメートルの凹凸まで見分けられるという。
4 委託業務成果発表リスト
(1)マイクロマシン技術の研究開発
届け出番号 |
発表課題 |
発表者 |
発表先 |
発表期日 |
MMC-03-051
電特
|
昆虫型マイクロロボットの可能性 |
三菱電機(株) |
JST異分野研究者交流フォーラム報告書 |
H15.5 |
Ⅱ マイクロマシンセンターの動き
1 第2回材料特性標準化委員会の開催
第2回材料特性標準化委員会(委員長:大和田邦樹 国際標準化工学研究所 所長)が6月16日(月)に開催されました。今回は第1回に引き続き、微小薄膜形状材料の「引張試験方法」と「標準試験片」に関する規格案について検討し、日本語原案と英文規格案を最終的にまとめました。
今後の予定としては、7月中にIEC (国際電気標準会議)/ TC47(半導体デバイス)に新規格案の提案を行い、10月に開催されるIEC総会においてNP(New
Proposal)の成立を目指します。
2 国際マイクロマシンシンポジウム・プログラム委員会の開催
プログラム委員会(委員長:東京大学 藤田博之教授)が6月18日(水)に開催されました。今年11月13日(木)に科学技術館で開催される第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポシウムのプログラム(案)について審議され、次のように決定しました。
今回シンポシウムは、経済産業省の施策「フォーカス21」と関連し、MEMSに焦点を当て、特に応用の展開が拓けてきたMEMSの産業化を中心にプログラムを編成することとし、
これを受けて、セッション1.の特別講演は、スイス ニューシャテル大学のNico F. de Rooij 教授に「MEMS産業化の推進」について講演を依頼することになりました。
さらに米国のMEMSの開拓者ともいわれるMassachusetts工科大学のStephen D. Senturia 教授に講演を依頼すべく、現在、招へいを進めています。
Senturia 教授の内諾が得られた場合、特別講演は2件行うことも考慮しています。その他、セッション4.は、パネル形式とし、藤田教授が司会をつとめ、海外からの招待講演者(4~5名)と下山教授(東京大学)、生田教授(名古屋大学)、遊佐取締役(オリンパス)の8名で、ディスカッシヨンを行います。
下記のテーマが予定されています。
(1)MEMSの複雑性、多様性に対応するフレキシブルな生産システムは、どうあるべきか?
(2)NANOテクノロジーへどう進むか(進み方)?
(3)マーケットのニーズによるMEMSデバイスの実用化の方法と支援方法
(4)多くのMEMSデバイスは、なぜ産業化できないか? 理由と解決策
(5)標準化のあり方
その他の内外の招待予定者、講演テーマ(仮題)等については、つぎのプログラム(案)を参照下さい。
第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムプログラム(案)
2003年11月13日(木)、科学技術館 サイエンスホール
Session 1 オープニング 司会:(財)マイクロマシンセンター専務理事 平野隆之
09:30-09:35開会挨拶(財)マイクロマシンセンター理事長 下山敏郎
09:35-09:40来賓挨拶 経済産業省 製造産業局長
09:40-10:20特別講演「MEMS産業化の推進」 (仮題)
Prof. Nico F. de Rooij University of Neuchatel
10:20-11:00特別講演「MEMSの過去と未来」(仮題)
Prof. Stephen D. Senturia
Massachusetts Institute of Tecnology(依頼中)
Session 2 マイクロマシン産業への途 司会: 下山 勲
11:00-11:30「MEMS Industry in U.S.A.」(仮題) Dr. K.Gabriel(依頼中)
11:30-11:55「RelayからRF - MEMS」 (仮題) 今仲 行一 オムロンデバイス研究所長
11:55-12:25「MEMS Design House in U.K.」 (仮題) From U.K.
12:25-12:55「Direct Mirror Driveに見るMEMSの信頼性確保」 (仮題)
Dr. Andrew Sontheimer Texias Instruments
12:55-13:55 昼食
Session 3 革新研究紹介 司会: 生田 幸士
13:55-14:25 「Micro/Nanosatellite fabrication 」(仮題)
Dr. Henry Halvajian
Airspace corporation
14:25-14:55 「バイオハイブリッドナノマシン 」(仮題) 竹内昌治 / 東京大学
(予備) 燃料電池 ソニー or 東芝
14:55-15:25 「NANO Channel 」(仮題)
Prof. Albert van den Berg Twente University
15:25-15:55 休憩
Session 4 マイクロマシン・ナノ技術戦略(MEMSの新展開を探る) 司会: 藤田 博之
15:55-16:05 「MEMSとナノテクテクノロジーの産業化」(仮題) 生田 幸士
16:05-16:15 「企業におけるMEMSの実用化」(仮題) 遊佐 厚
16:15-16:25 「NANOテクノロジーへの進みかた」(仮題) 下山 勲
16:25-16:35 「 」 藤田 博之
16:35-17:45 Panel Discussion 司会: 藤田 博之
①下山 勲 ⑤Gabriel
パネリスト ②生田 幸士 ⑥de Rooij
③遊佐 厚 ⑦U.K.
④Senturia ⑧van den Berg
Session 5クロージング
17:45-17:55閉会挨拶(財)マイクロマシンセンター専務理事 平野隆之
3 第1回業務委員会の開催
平成15年度第1回業務委員会(委員長:オリンパス光学工業株式会社 舘岡斉氏)が6月23日(月)に開催されました。
平成15年度事業内容の審議結果は以下のとおりです。
1)広報誌の編集・出版
・和文広報誌:基準頁数8頁、モノクロで4回/年(43号~46号)出版および
ホーページへ記載・公開。
・英文広報誌:4回/年(和文広報誌の英訳版)ホームページのみ記載・公開。
・今年度の広報誌編集計画概略(第43号~第46号)について検討・承認。
2)ホームページの維持・管理
・ホームページ記載内容の決定は当委員会で従来どおり行う。維持管理は
調査研究委員会の国内外技術動向調査部会の所掌となる。
3)第14回マイクロマシン展の開催
・11月12日~14日に科学技術館(東京・北の丸公園)で開催する。併催の
第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムは11月13日に開催する。
4)マイクロマシン絵画の収集・利用
・絵画収集事業は昨年度で終了とする。
5)メディア取材対応、学会誌・技術雑誌への寄稿、講演
・従来どおり、可能な限り積極的に対応する。
次回委員会の開催について
以後の委員会(10月、12月、2月を予定)は原則としてメールによる開催とする。
4 第1回国内外技術動向調査部会の開催
平成15年度第1回国内外技術動向調査部会(部会長:早稲田大学 庄子習一教授)が6月24日(火)に開催されました。この部会は研究に加え技術についても国内外の最新かつ詳細な情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的としています。昨年と同様に、収集・分析した情報は年度末に報告書としてまとめるとともに、MMCデータベースに掲載して関係の方々に提供していきます。今回の部会では、今年度事業の進め方について討議を行いました。動向調査として、上期に
Transducers’03 の調査を、下期にMEMS2004の調査を行うことを決定しました。また、マイクロマシンインデックス対象雑誌において、MMC未購読雑誌に関する情報提供も本部会委員の方々にお願いしました。
5 第1回調査研究委員会の開催
平成15年度第1回調査研究委員会(委員長:東京大学 藤田博之教授)が6月26日(木)に開催されました。本委員会では、マイクロマシンに係わる①調査研究計画の策定、②技術動向の調査・分析、③産業動向の調査・分析、④情報の収集・提供を目的としており、下記部会より構成されています。
・長期ビジョン部会
・国内外技術動向調査部会
・市場算出システムの構築に関する調査部会
・MEMS設計・解析支援シミュレーションに関する調査研究委員会(~2003年6月)
・新機能材料のNEMSへの展開に関する調査研究委員会
第1回目の今回は、各部会の本年度計画を確認しました。
なお、当委員会の委員構成は次のとおりです。
委員長 藤田博之 東京大学 生産技術研究所 マイクロメカトロニクス国際研究センター
委 員 新野秀憲 東京工業大学 精密工学研究所 精機デバイス部門 超微細加工研究分野
〃 岡野光夫 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
〃 下山 勲 東京大学 大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻
〃 羽根和弘 東北 大学院 工学研究か 機械電子工学先行
〃 生田幸士 名古屋大学 大学院 工学研究科 マイクロシステム工学 生体医用マイクロ工学講座
〃 庄子習一 早稲田大学 理工学部 電子・情報通信学科
〃 石川雄一 独立行政法人 産業技術総合研究所 機械システム研究部門
〃 太田 亮 オリンパス光学工業株式会社 研究開発センター 先端技術研究所 MC技術部
〃 岩渕治男 JUKI株式会社 R&Dセンター 研究開発部
〃 平田嘉裕 住友電気工業株式会社 播磨研究所
〃 古田一吉 セイコーインスツルメンツ株式会社 技術本部 開発企画グループ
〃 清水正樹 テルモ株式会社 研究開発センター 開発企画部
〃 須藤 肇 株式会社東芝 研究開発センター 機械・システム ラボラトリー
〃 原田 武 株式会社日立製作所 基礎研究所 ナノ材料・デバイスラボ
〃 沢田 潔 ファナック株式会社 基礎技術研究所
〃 末益龍夫 株式会社フジクラ 電子デバイス研究所
〃 木股雅章 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 センシング技術部
〃 岩岡秀人 横河電機株式会社 R&D技術戦略Gr
6 経済産業省より「疲労試験に関する標準化」事業の受託決定
この度、経済産業省産業技術環境局標準課の事業「エネルギー使用合理化標準化調査(マイクロ・ナノ材料の疲労試験に関する標準化)」の公募に当センターが応募していましたが、この程6月19日に受託が決まりました。
本事業では、シリコンや銅、アルミなどのマイクロマシン/MEMSに用いられる薄膜材料の疲労試験に関して3年間にわたって調査研究を実施するもので、先に平成11年度から13年度までNEDO事業にて実施した「薄膜材料の引張試験」に続くものです。これらの事業を実施することで薄膜材料の各種基本特性を世界に先駆けて把握してマイクロマシン/MEMS製品の設計ならびに信頼性評価を容易にしてMEMS製品の早期普及を促し、さらにその成果を国際標準化提案する事を目標にしております。
今後(株)豊田中央研究所、ならびに東京工業大学、名古屋大学、群馬大学と共同して本事業を実施して参ります。
7 第1回新機能性材料のNEMSへの展開に関する調査研究委員会の開催
平成15年度第1回新機能性材料のNEMSへの展開に関する調査研究委員会(委員長:立命館大学 田畑修教授)が7月3日(木)に開催されました。本委員会は、(社)日本機械連合工業会様からの平成15年度「新機能性材料のNEMSへの展開」事業の委託研究を推進するために発足した委員会であり、「MEMS/NEMSを幅広い産業領域に展開するため、非シリコン系の新機能性材料や異種材料の組み合わせによる新たな微小デバイス製造の現状と可能性を明らかにする」ことを目的としています。
第1回会議では、「対象とする新機能性材料や加工・製造方法とリンクした調査研究の進め方」を中心に議論を行い、今年度の活動計画概要を決定しました。今後3回程度委員会を開催し、本年度中に成果をまとめる計画になっております。
なお、委員会構成は以下のようになっております。
委員長 田畑 修 立命館大学 理工学部機械工学科
委 員 橋口 原 香川大学 工学部知能機械システム工学科
〃 年吉 洋 東京大学 生産技術研究所マイクロメカトロニクス国際研究センター
〃 丸山茂夫 東京大学 大学院工学系研究科機械工学専攻
〃 小野崇人 東北大学大学院 工学研究科機械電子工学専攻
〃 小原 拓 東北大学 流体科学研究所ミクロ熱流動研究部門
〃 磯野吉正 立命館大学 理工学部機械工学科
〃 前田龍太郎 独立行政法人産業技術総合研究所 機械システム研究部門
〃 三原孝士 オリンパス光学工業株式会社 研究開発センター
〃 吉村雅司 住友電気工業株式会社 ナノマテルアル研究所
〃 古田一吉 セイコーインスツルメンツ株式会社 技術本部
〃 八木 健 株式会社ニコン コアテクノロジーセンター
〃 澤田廉士 日本電信電話株式会社 NTTマイクロシステムインテグレーション研究部
〃 岡田亮二 株式会社日立製作所 研究開発推進本部
〃 六田英治 株式会社富士総合研究所 科学技術グループ
〃 平岡睦久 株式会社富士電機総合研究所 材料技術研究所
〃 深見達也 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所
〃 山下慎次 株式会社安川電機 開発研究所
〃 手塚信一郎 横河電機株式会社 先端技術研究所
8 国際マイクロマシンサミットの今後の開催予定
国際マイクロマシンサミット(サミット)は、1995年に日本がイニシアティブを取って京都で第1回を開催して以来、マイクロマシン技術に関する主要国のハイレベルな研究者のフォーラムとして、政策、産業化、教育などの基本的な議題に最新の技術動向をトピックスとして、関係国の持ち回りで、毎年開催されています。
今年は第9回国際マイクロマシンサミットとして4月28日-30日の3日間、中国の北京で開催されることになっていましたが、新型ウイルス(SARS)の北京への伝播、またSARSは国際的な伝染性が強いことから、当センターの提案で9月上旬を目途に開催を延期しました。
その後WHOのニュースに基づいて9月上旬開催の可能性を探ってきましたが、このサミットの開催者、周 清華大学教授をはじめ、主な関係国のチーフデレゲイトと相談の結果、2003年の北京での国際マイクロマシンサミットを延期することとし、第9回国際マイクロマシンサミットは2004年にフランスで開催することを決定しました。このフランスでのサミット開催については、昨年、シンポジウムの講演者としてフランスから招聘したDr.
Constant Axelradの協力を得ました。
しかし今回不測のSARSの影響で、開催の機会を不意にした中国の開催については、2005年に北京サミットを開催することになりました。
9 (財)産業研究所より「MEMS関連市場の現状と日本の競争力に関する調査研究」事業の受託決定
(財)産業研究所の調査委託研究事業「MEMS関連市場の現状と日本の競争力に関する調査研究」への当センターの提案が、産業研究所内の委員会にて審議され、採択を受けました。今後、実施計画を詰めて、契約手続きに入る予定です。
Ⅲ 行政動向
1 経済産業省産業機械課人事異動
平成15年6月16日付
(新) (旧)
吉田 健一郎 香川県商工労働部 産業機械課課長補佐(技術・環境担当)
辻本 崇紀 産業機械課課長補佐 産業機械課課長補佐(技術班)
(技術・環境担当)
平成15年6月20日付
飯濱 美夏 産業機械課付 産業機械課技術係長
Ⅳ 海外からの訪問者
1 NRWジャパンが来訪
6月11日(水)、ドイツNRW州経済振興公社のMr.Wolfgang Jansen(Project Manager)とその日本支社、株式会社エヌ・アールダブリュージャパンの三枝樹
洋(営業部長)が当センターを訪問されました。今回の訪問の目的は、最近の当センターの動向調査と相互の情報交換で、特に9月初旬に日本で開催を予定しているNRW
CITY FORUMへの参加ついて、賛助会員等への案内の依頼でした。
当センターからは創立以来続けているマイクロマシンの技術開発に基づく経済振興やその成果としてのマイクロマシン展における出展数と参加者の急激な増加を紹介すると共に、政府施策の「フォーカス21」に基づきMEMSの産業化を推進するファンドリーサービスの開始と委員会の設置等を紹介しました。また国際標準としてIECの承認が見込まれるマイクロマシン技術用語の国際標準化活動も紹介しました。
NRW州経済振興公社は1960年に創立され、当時鉄鋼産業に依存していた経済構造を通信、メディア産業を中心とする最新の技術産業に転換した輝かしい実績を持っております。現在もドイツ経済を振興するため、海外の企業の誘致、またドイツ企業の海外進出をグローバルな見地から支援しており、one-stop-agencyと呼ばれる方式で、企業が進出する場合の市場調査、事務所や工場用地の紹介、提携企業や客先の紹介、事業資金やドイツ政府の資金援助の紹介等、企業進出に必要な総てのコンサルティングを目的として展開しています。日本企業もこの支援を受けて150社以上がNRW州に進出し、その内8社が生産工場を建設し、2000人以上の雇用を創出しています。またベンチャービジネスについても同様の支援をしています。
詳しい情報は(http://www.nrw.co.jp)を参照下さい。
Ⅴ 外部団体情報
1 (財団法人)製造科学技術センター人事異動
平成15年7月1日付
(新) (旧)
専務理事 瀬戸屋 英雄 専務理事 林 秀行
Ⅵ イベント案内
1 当センター主催のイベント
・ 詳細は当センター調査研究部にお問い合わせ下さい。Tel : 03-5835-1870
・ 番号上にNew の表示のあるイベントは、今回新規掲載分。
(1) MEMSファンドリーサービス講習会
開 催 日: 平成15年7月18日(金)13:30~17:30~19:30
開催場所: 中央大学 駿河台記念館 670号室(東京・神田駿河台)
主 催: (財)マイクロマシンセンター
ファンドリーサービス産業委員会
New
(2) 第9回(平成13年度)マイクロマシン技術に関する研究助成成果報告会
開 催 日: 平成15年9月12日(金)13:00 ~ 17:50
開催場所: (財)マイクロマシンセンター 会議室
主 催: (財)マイクロマシンセンター
(3) 第14回マイクロマシン展
開 催 日: 平成15年11月12日(水)~14日(金)
開催場所: 科学技術館・東京北の丸公園
主 催: (財)マイクロマシンセンター他
(4) 第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの開催
開 催 日: 平成15年11月13日(木)9:30~17:00
開催場所: 科学技術館(東京都千代田区北の丸公園2番1号)
主 催: (財)マイクロマシンセンター
2 その他のイベントのお知らせ
・詳細は当センター調査研究部にお問い合わせ下さい。Tel : 03-5835-1870
・番号上にNew の表示のあるイベントは、今回新規掲載分。
(1) COMS2003(The 8th International Conference on the
Commercialization of Micro and Nano Systems) (Q7A3402)
開 催 日: 2003年09月08日(月) ~ 11日(木)
開催場所: Amsterdam, The Netherlands
主 催: MANCEF
情報入手: http://www.mancef-coms2003.org/
(2) ICRA2003 (2003 IEEE International Conference on Robotics
and Automation) (Q7A2801)
開 催 日: 2003年09月14日(日) ~ 19日(金)
開催場所: The Grand Hotel, Taipei, Taiwan
主 催: IEEE Robotics and Automation Society
情報入手: http://www.icra2003.org
(3) μTAS2003
(The 7th International Conference on Miniaturized Chemical
and BioChemical Analysis Systems) (Q7A2Z05)
開 催 日: 2003年10月05日(日) ~ 09日(木)
開催場所: Squaw Valley, California USA
主 催: The Transducers Research Foundation
情報入手: http://www.microTAS2003.org
(4) MICRO SYSTEM Technologies 2003 (Q7A3204)
開 催 日: 2003年10月07日(火) ~ 08日(水)
開催場所: Muchen, Germany
主 催: IEEE, Mesago Messe Frankfurt
情報入手: http://www.mesago.de/mst
(5) POLYTRONIC 2003 (3rd International IEEE Conference on Polymers
and Adhesives in Microelectronics and Photonics) (Q7A2X03)
開 催 日: 2003年10月20日(月) ~ 23日(木)
開催場所: HOTEL EDEN AU LAC, MONTREUX, SWITZERLAND
主 催: Tima, etc.
情報入手: http://tima.imag.fr/Conferences/POLYTRONIC
New
(6) COTS MEMS 2003 (The 3rd International Conference on Advances
in Application of Integrated Commercial-Off-The-Shelf
Micro-Electro-Mechanical Systems) (Q7A3602)
開 催 日: 2003年10月20日(月) ~ 21日(火)
開催場所: San Francisco, CA USA
主 催: The Knowledge Foundation, Inc.
情報入手: http://www.knowledgefoundation.com/
(7) 2003国際ロボット展 (P6A3204)
開 催 日: 2003年11月19日(水) ~ 22日(土)
開催場所: 東京ビックサイト・有明
主 催: (社)日本ロボット工業会、日刊工業新聞社
情報入手: http://www.nikkan.co.jp/eve/03robot/index.html
(財)マイクロマシンセンター 協賛
New
(8) MEMS 2004 (17th IEEE International Conference on Micro Electro
Mechanical Systems) (Q7A3601)
開 催 日: 2004年1/月25日(日) ~ 29日(木)
開催場所: Maastricht, The Netherlands
主 催: IEEE
情報入手: http://www.mems2004.org
Ⅶ その他会員への情報
1 マイクロマシンセンターの人事異動
平成15年7月1日付
廣部 嘉道 調査研究部次長を命ずる
調査研究部調査課長に併任する
2 講習会「MEMS設計・加工技術」のご案内
当センターファンドリーサービス産業委員会では、下記のとおり第1回MEMS講習会「MEMS設計・加工技術」を開催いたします。なお、賛助会員企業の連絡窓口には既に別途ご案内を差し上げてあります。
講習会「MEMS設計・加工技術」
日時 2003年7月18日(金)13:30~17:50~19:30
場所 中央大学駿河台記念館 6階 670号室
〒101-8324 東京都千代田区神田駿河台3-11-5
Tel:03-3292-3111
主催 財団法人マイクロマシンセンター
ファンドリーサービス産業委員会
プログラム
13:30 主催者挨拶 平野隆之 (財団法人マイクロマシンセンター 専務理事)
13:35 MEMSの現状と今後の動向
杉山 進 (立命館大学理工学部 教授)
14:05 光MEMSを中心としたMEMS設計技術
坂田 芳孝 (オリンパス光学工業(株)研究開発センターMEMS開発本部 課長補佐)
14:30 RFMEMSの設計技術
佐藤 正武 (オムロン(株)先端デバイス研究所MEMSグループ)
14:55 バルクマイクロマシニングを用いたデバイス設計技術
小出 晃 ((株)日立製作所機械研究所パワー先端メカトロニクスセンタ 主任研究員)
――――――――――――――― 休憩 15:20~15:30 ――――――――――――――
15:30 MEMS設計におけるシミュレーション
入江 康郎 ((株)富士総合研究所フロンティア・サイエンス室 主任研究員)
15:55 MEMS加工プロセス技術
毛野 拓治 (松下電工(株)先行・融合技術研究所nBT開発部 部長)
16:20 Si加工によるMEMS製造技術
小澤 信男 (沖電気工業(株)研究本部新技術研究開発部 MEMSプロジェクトチーム チームリーダー)
16:45 MEMS実装技術
滝沢 功 ((株)フジクラ ウエハレベルパッケージ部 課長)
17:05 ファンドリーサービス産業委員会活動紹介
三原 孝士 (オリンパス光学工業(株)研究開発センターMEMS開発本部 先端技術担当部長)
17:20 相談デスク
各講演者他
――――――――――――――― 休憩 17:50~18:00 ―――――――――――
18:00~19:00 懇談会 参加者、各講演者他
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