マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信します。
1、2010年のGDPの成長率は3.9%
内閣府は、3月10日、2010年のGDP(実質国内総生産)の改定値(2次速報値)を公表しました。
それによりますと、2010年暦年の実質成長率は3.9%となりました。2009年のGDPはマイナス6.3%でした。GDPがプラスになるのは2007年以来3年ぶりとなります。民間需要の伸びは2.4%、公的需要の伸びは1.3%、財貨・サービスの純輸出は1.8%の伸びとなります。
併せて、2010年9~12月期の4半期のGDPの伸びの改定値も発表されました。この期間のGDPの伸びはた前期比でマイナス0.3%と2月の1次速報値と変わりませんでした。ただ、年率換算ではマイナス1.3%となり、前回2月の値より0.2%低下しました。
参考:
URL
2、月例経済報告(3月23日)
内閣府は、3月23日、月例経済報告を発表しました。
3月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、持ち直しに転じているが、自律性は弱く、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」としています。基調判断については、「持ち直しに転じている」という表現は据え置きました。
「先行きについては、海外経済の改善や各種の政策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されるが、東北地方太平洋沖地震の影響に十分留意する必要がある。また、金融資本市場の変動や原油価格上昇の影響、海外景気の動向等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。
また、「政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。これに加え、今般の地震の影響等を十分注視して、国民生活及び経済活動の安定に総力を挙げて取り組む。日本銀行に対しては、引き続き政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な対応によって経済を下支えするよう期待する」としています。
参考:
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/0323getsurei/main.pdf
3、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、法案提出
経済産業省は、3月11日、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」の概要を公表しました。
その概要は、以下の通りです。
① 電気事業者に対する再生可能エネルギー電気の買い取りの義務付け
・太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気について、一定の期間・価格により電気事業者が買い取るよう義務付け
② 買い取り価格の負担方法
・各電気事業者が、需要家に対し使用電気量に比例した賦課金(サーチャージ)の支払いを請求することを認める
以上の方案は、今国会に提出するとしています。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003-2.pdf
4、2月の完全失業率4.6%
総務省は、3月29日、2月分の労働力調査の結果(速報)を発表しました。
それによりますと、2月の完全失業率は4.6%であり前月から0.3%低下しました。ただ、東北地方太平洋沖地震の影響で、岩手県、宮城県、福島県の輸送手段の途絶がありこれら3県から調査票の回収が困難になり、今回のデータはこれら3県のデータを除いたものとなります。
また、同日、厚生労働省は2月の有効求人倍率(季節調整値)を発表しました。2月の有効求人倍率は0.62倍であり前月から0.01ポイント上昇しました。有効求人倍率が上昇するのは10カ月連続となります。
参考:
URL1 URL2
5、経済産業省の主な経済指標(鉱工業指標調査 2010年2月速報分 2011年3月31日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたって統計調査を実施しており、それらの調査分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。これは鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2カ月の予測の把握を行うものです。2月分の概要(速報)は以下の通りです。
-生産は持ち直しの動きで推移―
・今月は、生産、出荷、在庫が上昇、在庫率は低下であった。
・製造工業生産予測調査によると、3月上昇の後、4月は低下を予測している。
・総じて見れば、生産は持ち直しの動きで推移しているものの、先行きについては、東北太平洋沖地震の影響に留意する必要がある。
2月の生産・出荷・在庫動向
(1) 生産
2月の生産は、前月比0.4%の上昇と4カ月連続の上昇 (前年同月比は2.8%の上昇)となり、指数水準は96.4 (季節調整済)となった。生産の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、化学工業(除、医薬品)等であった。品目別にみると、モス型半導体集積回路(メモリ)、普通乗用車、小型乗用車の順に上昇に寄与している。
(2) 出荷
2月の出荷は、前月比1.7%の上昇と4カ月連続の上昇(前年同月比は3.4%の上昇)となり、指数水準は98.0 (季節調整済)となった。出荷の上昇に寄与した業種は、輸送機械工業、一般機械工業、化学工業(除、医薬品)等であった。
(3) 在庫
2月の在庫は、前月比1.5%の上昇と3カ月連続の上昇(前年同月比は6.6%の上昇)となり、指数水準は101.8(季節調整済み)となった。在庫の上昇に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、鉄鋼業等であった。
2月の在庫率は、前月比▲2.2%の低下(前年同月比は▲2.2%の低下)となり、指数水準は105.9(季節調整済み)となった。
製造工業生産予測調査
製造工業生産予測調査によると、3月は前月比1.4%の上昇、4月は同▲1.3%の低下であった。3月の上昇は、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、輸送機械工業等により、4月の低下は、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業、鉄鋼業等による。2月の実現率は▲1.1%、3月の予測修正率は▲1.2%となった。
参考:
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
6、2月の貿易は黒字
財務省は、3月24日、2月分の貿易統計(速報)を発表しました。
2月の貿易黒字は6,500億円となり、前月の4,800億円の赤字から黒字に転じました。輸出額は対前年同月比9%増の5.6兆円、輸入額は対前年同月比10%増の4.9兆円です。
前月は中国向けの輸出が1月の春節による大型連休の影響で伸び悩みましたが、今月は一転して大幅に伸びています(対前年同月比29%増)。このことが、今月の黒字に結びついたものです。
参考:
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7、2月の消費者物価、24ヵ月連続低下
総務省は、3月25日、2月の全国消費者物価指数を発表しました。
それによりますと、生鮮食品を除く総合が前年同月比▲0.3%の低下となり、24か月連続で低下しています。
対前年同月比で下落した主な項目は、授業料等(対前年同月比▲17%)、家庭用耐久財(同▲9%)、家賃(同▲0.4%)等となっています。
なお、全体の総合では、対前年同月比で0.0%となっています。
参考:
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
8、2月の経常黒字、1.6兆円
財務省は、4月8日、2月の国際収支状況(速報)を発表しました。
2月の経常収支は1.64兆円の黒字で、前年同月比で3%黒字が拡大しました。
この内、貿易収支は7,200億円の黒字ですが、黒字幅は前年同月比で4%減少しました。輸出、輸入とも増加する中で、輸入の増加幅が輸出の増加幅を上回り黒字幅が縮小したものです。
また、所得収支は1.1兆円の黒字となり、対前年同月比で黒字幅が1,880億円増加しました。
参考:
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9、東北地方太平洋沖地震の発生前後における日銀の業況判断
日銀は、4月4日、東北地方たくぃ併用沖地震の発生前後における業況判断について発表しました。
「先行き」の業況判断については、地震前と地震後では顕著な違いがみられます。
全産業の業況判断については、「大企業」では地震前ではDIがプラス1でしたが、地震後ではマイナス▲3となり、地震後では先湯に対する評価がマイナスとなりました。「中堅企業」では地震前のDIがマイナス▲10から地震後ではマイナス▲14となりマイナス幅が拡大しています。また、「中小企業」では、地震前のDIがマイナス▲22でしたが、地震後ではマイナス▲25となり、これも先行きに対する不安が拡大しています。
参考:
http://www.boj.or.jp/statistics/tk/ref/2010/tkref1103eq.pdf
10、太陽光発電の余剰電力買い取り価格、23年度分が決定
経済産業省は、3月30日、太陽光発電の余剰電力買い取り制度における平成23年度の買い取り価格を決定したことを発表しました。
平成23年4月から適用される買い取り価格は、住宅用(10Kw未満)は42円/KWh、非住宅用等は40円/KWhとなります。また、ダブル発電(太陽光発電の設置に加え、それ以外の自家用発電設備等を併設している場合)の場合には、住宅用が39円/KWh、非住宅用が20円/KWhとなります。
太陽光発電の余剰電力買い取り制度は平成21年11月から始まりました。今回の改定前の買い取り価格は住宅用(10KW未満)は48円/KWh、非住宅用等は24円/KWhでした。
参考:
http://www.meti.go.jp/press/20110330003/20110330003.pdf