1 MNE2007報告(9月23日~26日)
33th International Conference on Micro- and Nano- Engineering(MNE2007)が、9月23日(日)から26日(水)まで、北欧のお伽の国といわれるデンマークの首都コペンハーゲン市郊外FrederiksbergにあるFalconer
Centerで開催されました。
ファインMEMS知識データベースの整備に関する知識情報収集のため、とくにナノとMEMSの両方に係わる世界的な研究動向について広範囲な調査を行うことがこのカンファレンスに出席する目的でした。マイクロからナノサイズのリソグラフィー技術に焦点を置いたこのカンファレンスは、新しいリソグラフィーに係る手法としてのナノインプリンティングについてもプログラムのひとつとして盛り込まれています。
もともとこのカンファレンスの生い立ちは、キーテクノロジーとして半導体技術の歴史とともにあったようで、ムーアの法則の実証として微細化が進みはじめた時期の1975年にスタートしており、ヨーロッパを中心とした微細加工分野での著名なカンファレンスです。
今年の参加者数は非公式発表で500名を越える規模とのことですが、プレゼンテーション計378件で参加者の3分の2が発表者ということになります。その構成は、Oral 161件(Plenary 7件、Invited 19件、Contributed 71件)、Poster281件です。地域別には、America 5%、Asia 32%、Europe 63%とやはりヨーロッパ中心の構成になっていますが、一昨年に比較してずいぶんAmericaの報告が減少していました。
リソグラフィーに関するカンファレンスを標榜している通り、マスクレスリソやナノインプリントリソが目立っているようでした。またマイクロナノデバイスファブリケーション、マイクロナノバイオというセッションで、バイオセンシング(光型、共振形カンチレバーなど)、RFMEMSスイッチ/CMOS、櫛歯MEMSデバイスの等価回路モデル言及などファインMEMSに直結した内容も見られ、当初の目的を十分にカバーできる内容でした。
会場のロビー周辺
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Falconer Center
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2 第29回真空展-VACUUM2007報告(9月12日~14日)
日本真空工業会/日本真空協会主催による、「第29回真空展―VACUUM 2007」が東京ビッグサイトで開催されました(来場者16,678名)。テーマゾーン『真空-夢ひろば「MEMSと真空技術」』
では、真空技術の応用として、MEMS技術と製品がパネル・実物を用いて、わかりやすく紹介されました。マイクロマシンセンターもパネル展示に協力し、当センターとMEMSの概要がパネル展示(6枚)されました。
マイクロマシンセンターの紹介パネル |
MEMSセンサーの展示 |
1 MemsONEβ版講習会の開催案内
MEMS用設計・解析支援システム開発プロジェクトが生み出したソフトウェア「MemsONEβ版」の頒布を6月初旬より開始致しました。MemsONEを日本国内に広く普及させるためには、操作手順や解析の技術的なユーザ支援が不可欠です。このため、複数のPCにMemsONEβ版をインストールした環境を用意し、実際にPC上でMemsONEβ版を使ってGUI操作や解析手順を中心に指導を行います。この講習会を実習講座と称し、基本コースと応用コースの2コースを用意しています。開催期間は7月から来年1月迄で、期間の前半は基本コースを、後半は応用コースを予定しています。
○基本コース: フレームワーク操作と解析ソフトの利用方法を指導
○応用コース: 一通り使いこなせる人を対象に解析ソフトの設計・研究に有用な活用方法を指導
この実習講座は、東京大学および京都大学のご協力により実施しています。開催は、関東(東京大学本郷キャンパス)で6回、関西(京都大学吉田キャンパス)で3回を予定しています。
<実習講座の開催月>
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7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
関東(東京大学) |
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8/22
基本 |
9/14
基本 |
10/19
応用 |
11/16
基本 |
12/12
応用 |
1/18
応用 |
関西(京都大学) |
7/19
基本 |
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9/20
基本 |
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11/9
応用 |
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この実習講座の他に、β版を使った解析事例発表セミナーや他の機関で開催される講習会内でも積極的に開催していく予定です。なお、実習講座は有料ですが、他のセミナーや講習会は無料です。
ユーザの方々には、MemsONEひろば「http://www.mmc.or.jp/mems-one/」の“講習会案内”から、講習会に関する情報を逐次ご案内致します。多くの方々の参加をお待ち致すと共に、この講習会の実施により、MemsONEユーザが拡大することを期待しています。
2 MEMS協議会・交流会の開催(11月8日)
MEMS協議会は、MEMS関連企業の構成メンバーを中心として、マイクロナノ・MEMSに係わる大学研究室、地域拠点、海外機関等と連携しつつ、行政、関係機関への政策提言活動や、産業交流・活性化のための諸々の活動を推進しています。
来る11月8日(木)、平成19年度第2回MEMS協議会推進委員会が、行政、関係機関との意見交換を行う「MEMS懇話会」を兼ねて開催されることになっており、この機会に、推進委員会終了後、MEMS協議会の諸活動の理解を深め、併せてMEMS協議会メンバーの相互交流が出来る場として、『MEMS協議会メンバー交流会』を開催することにいたしました。
MEMS協議会メンバー交流会(立食形式)
・開催日時:平成19年11月8日(木) 17:15~19:00
・場 所:商工会館7階 B・C会議室)
東京都千代田区霞ヶ関3-4-2
Tel:03-3581-1634
URL:http://www.jade.dti.ne.jp/~shoko-on/
・参加予定:MEMS協議会企業メンバー(正メンバー、アソシエートメンバー)
MEMS協議会フェロー
MEMS協議会アドバイザー
経済産業省
NEDO技術開発機構
開催については改めてご案内いたしますが、是非ともご参加いただきたく、よろしくお願いいたします。
3 第13回マイクロ・ナノ先端技術交流会(11月9日)
マイクロマシンセンターでは、マイクロ・ナノ技術に関係している賛助会員企業・MEMS協議会企業メンバーの専門家を対象に、マイクロ・ナノ技術に関する各産業分野における先端技術への認識と理解を深めマイクロ・ナノ技術の普及啓発と産学の技術交流を図ることを目的として、年3回、「先端技術交流会」(勉強会)を実施しています。
毎回、2名の先生を講師にお願いし、それぞれご講演をいただき、その後、講師の先生方と技術交流会参加者との懇談会を行います。
第13回マイクロ・ナノ先端技術交流会は、豊橋技術科学大学の石田誠教授、東京工業大学フロンティア創造共同研究センターの秦誠一准教授を講師にお迎えし、以下の内容で開催いたします。
(1)開催日時:平成19年11月9日(金)
13:00~17:00 マイクロ・ナノ先端技術交流会
17:15~19:00 懇談会
(2)開催場所 : マイクロマシンセンター会議室
(3)内 容
○講演①
講師:東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター
共同研究機構物質系分野 秦 誠一 准教授
題目:アモルファス合金による微細構造・MEMSの実現
概要:シリコン以外の新素材として,薄膜金属ガラスを中心とした薄膜アモルファス合金を用いた微細構造やMEMSの実現と、用途に応じた材料の最適化・探索手法について述べる。
○講演②
講師:豊橋技術科学大学 電気・電子工学系
石田 誠 教授
題目:集積回路融合による高機能センサ/ MEMS
概要:21世紀COE「インテリジェントヒューマンセンシ ング」などで行ってきたスマートセンサチップのいくつかを紹介する。既存のセンサとICの単なる融合ではなく、新たなセンサ、機能、性能の向上が期待できる高機能センサ/MEMSを目的とする。
開催案内及び参加申し込み書は、賛助会員、MEMS協議会メンバーにお送りしますので、皆様のご参加をお願いいたします。
4 第10回MEMS講習会の開催(2008年1月21日)
当センターファンドリーサービス産業委員会では、MEMS産業の裾野を広げ、その発展を促進するためにMEMS講習会を開催してきましたが、次回第10回は2008年1月21日(月)東北地方で始めて、宮城県仙台市で開催いたします。
講習会の内容が決まり次第ご連絡しますが、積極的なご参加をお願い致します。
5 2007国際ロボット展について(11月28日~12月1日)
社団法人日本ロボット工業会/日刊工業新聞社主催による、2007国際ロボット展は下記により開催予定ですので、ご案内申し上げます。なお、2007国際ロボット展に特別企画として「マイクロファクトリー実証ゾーン」が設けられます。主催者によると、「本特別ゾーンでは、未来のマイクロファクトリーの実現に向けた様々な機器、製品、ソリューションビジネスを一同に展示・展開される」とのことであります。
財団法人マイクロマシンセンターも本ゾーンにNEDO委託開発事業で開発しましたソフトウェア「MEMS用設計・解析支援システム(MemsONE)」を出展いたします。開発成果でありますMemsONEβ版は、現在多くの関係企業・大学・研究機関等より引き合いがあり、ライセンスを供与する一方、講習会の開催を行っています。この機会に、ぜひ、MemsONEβ版をご高覧下さい。
記
会 期 平成19年11月28日(水)~12月1日(土)
会 場 東京ビッグサイト 東ホール
開催時間 午前10時~午後5時(最終日は、午後4時30分まで)
予想来場者 10万人
入場料 一般1,000円 学生・団体(15名以上)500円
但し、事前登録者及び招待券持参者は無料
URL http://www.nikkan.co.jp/eve/07ROBOT/
1.経済政策動向
■月例経済報告(9月14日)
9月の月例報告では、景気の基調判断について「景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、回復している。」との判断。先行きについては、企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、アメリカ経済や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要があるとしている。
○月例経済報告関係資料
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/0914getsurei/main.html
■経済産業省の主な経済指標(9月28日)
経済産業省は、商鉱工業及びサービス業など幅広い分野にわたて統計調査を実施しており、それらの調査・分析結果について取りまとめた統計をホームページ上に公表しています。たとえば、8月の鉱工業生産・出荷・在庫指数速報のでは、「生産は緩やかながら上昇傾向」として
○今月は、生産、出荷、在庫が上昇、在庫率は低下であった。
○製造工業生産予測調査によると、9月低下の後、10月は上昇を予測している。
○総じてみれば、生産は緩やかながら上昇傾向にある。と分析している。
鉱工業指数: http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
統計(新着情報): http://www.meti.go.jp/statistics/index.html
■平成20年度経済産業政策の重点
経済産業省は、8月24日に平成20年度 経済産業政策の重点(平成20年度経済産業省概算要求の概要)を公表した。その中で平成20年度概算要求については、わが国経済の持続的な成長を図る上で、緊急に取り組むべき、「地域・中小企業の底上げ」、「安全・安心の確保と高信頼性産業群の創出」、「地球環境対策」に重点をおいて一般会計全体として1兆1,938億円を要求。又、エネルギー対策特別会計については、8,241億円を要求としている。
http://www.meti.go.jp/topic/data/070824-1.pdf
■平成20年度産業技術関連予算の概算要求概要
経済産業省産業技術環境局は、上記経済産業政策の重点課題に対応した技術関連予算の要求概要を公表した。その中で、イノベーション創出メカニズムの改革につながるプロジェクトとして、「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発」16億円(一般会計)が新規に要求される。この技術開発は、イノベーション25を実現するための革新的未来デバイスとして期待されている。
http://www.meti.go.jp/topic/data/070824-8.pdf
〔注〕概算要求は、予定では12月はじめ頃まで財務省との折衝を経て12月末までに内示・政府原案閣議決定が行われ、年明けの通常国会で審議のうえ成立のはこびとなる。
■イノベーション創出を取り巻く関連政策動向
1.産業技術力強化法の改正
産業技術力強化法が、8月6日に改正された。
産業技術力強化法は、平成12年に制定された産業技術力の強化に関する基本的な法律であるが、イノベーション・スーパーハイウエイ構想を強化するため、今回の改正になったものである。
イノベーション・スーパーハイウエイ構想とは、連続的なイノベーションを実現していくため、これまでわが国に欠けていた「融合」と「経営」を強化していく取り組みである。
今回の改正の特徴は、第1に「技術経営力の強化」を盛り込んだことである。従来、「産業技術力」の強化だけが法律に盛り込まれていたが、今回の改正により、技術だけでなく技術経営力についても強化することとされた。これに伴い、(独)産業技術総合研究所及びNEDOの法律も改正され技術経営力の強化に資する人材の育成を行う業務が追加された。
第2に、研究成果の活用の円滑化を強化した。例えば、大学における研究成果の特許については審査請求料を半額に軽減する対象が、教授・准教授の研究だけでなくポスドク等の研究についても拡大されている。
また、日本版バイ・ドールは、今まで産業活力再生特別措置法の中に設けられていたが、この規定を暫定法ではなく恒久法である本法に移管されている。さらに、バイ・ドール法の対象となるソフトウエアについてもその範囲が拡大されている。
(参考) http://www.meti.go.jp/policy/innovation_policy/sangiho.htm
2.オゾン層破壊に関するモントリオール議定書の改正
9月17-21日にわたり、カナダのモントリオールにおいて、オゾン層を破壊する物に関するモントリオール議定書の締約国会合が開催された、
今年が、モントリオール議定書の採択20周年に当たることから、引き続き、オゾン層の保護に取り組んでいく姿勢を再確認するとともに、さらに規制を強化することとした。
規制強化となったのはハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)である。現行の議定書では、開発途上国においてはクロロフルオロカーボン(CFC)の代替物質であるHCFCの消費量を2040年に全廃することとされているが、これを2030年に前倒しし、またその間の削減量も強化することとされた。さらに、先進国におけるHCFC対策についても、削減量を強化するとともに2020年に全廃することとされた。
HCFCは、温室効果ガスでもあるが、モントリオール議定書で規制物質になっているため京都議定書では規制対象となっていない。HCFCの規制強化によりオゾン層破壊防止だけでなく温室効果の抑制にも貢献することになる。
(参考)http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8833
3.エネルギー安全保障と気候変動に関する主要国会合の開催
米政府主導の、上記会合が9月27,28の両日にかけて開催された。
米国は京都議定書に加盟しておらずCO2の削減に消極的であったが、今回の米国主導の会合が行われたことは、大きな前進であると注目されている。
会合には中国も参加した。京都議定書で削減義務を負っている加盟国全体の世界のCO2排出量は30%であるが、米国(22%)と中国(18%)のCO2の排出量は40%であり、今回米中が参加したことは大きな意味があるとみられている。
ただ、米国、中国とも義務を伴わない長期(50年)の削減計画には一応賛成しているものの、法的義務を伴う中短期目標については反対の姿勢を崩していない。
京都議定書の今後の枠組みについては、今年12月にインドネシアで開催されるCOP13の締約国会合で議論することになっている。
米国は、2009年までに新しい枠組み作りをすると主張しているが、合意の時期を含め今後の推移が注目される。
(参考)http://www.meti.go.jp/speeches/data_ej/ej071001j.html
http://www.env.go.jp/annai/kaiken/h19/j_1001.html
4.点検時期を義務付ける製品安全法の改正案
経済産業省は、ガス瞬間湯沸かし器等の器具について、メーカーが販売から一定後(10年+α)後に点検時期が来たことを消費者に通知する制度を設けることを固めた。
9月10日の経済産業審議会消費経済部会製品安全小委員会において、「出荷後における製品の安全性確保に向けて」についての中間とりまとめ(案)を審議した。
同中間とりまとめ(案)においては、瞬間湯沸かし器(都市ガス用、LPガス用)、ふろがま(都市ガス用、LPガス用、石油)、石油給湯器、FF式石油温風暖房器、電気食器洗い乾燥機(ビルトイン型)、電気式浴室換気乾燥暖房器の各品目について規定することにしている。
これらは、長期に使用され、また消費者自身による保守が難しく、経年劣化による事故発生率が高い製品である。規制内容は、一定期間後(10年+α)中は、消費者からの点検要請に応じるべきであるとしている。修繕経費は消費者が負担する。
このため、製品販売時には消費者にインフォメーション・レジストレーションカードを交付し、住所等の連絡先を書かせるようにすること(任意)、これを利用し消費者に注意を呼び掛ける等の措置をとることとしている。
この措置は、早ければ今国会で審議、成立させる予定である。
(参考)http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70910b04j.pdf
2.産業技術政策動向
■総合科学技術会議開催(6月14日)
第68回総合科学技術会議が6月14日に開催され、議事は以下のとおり。
(1)平成20年度科学技術に関する予算等の資源配分の方針(案)について
(2)競争的資金の拡充と制度改革の推進について
(3)最近の科学技術の動向
(4)その他
なお、配布された資料については、総合科学技術会議(第68回)議事次第参照
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu68/haihu-si68.html
また、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための第3期科学技術基本計画は平成18年3月28日に閣議決定されている
[本文(PDF形式)] http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/honbun.pdf
[概要(PDF形式)] http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/gaiyo.pdf
[分野別推進戦略] http://www8.cao.go.jp/cstp/kihon3/bunyabetu.html
■経済産業省の産業技術政策
○産業技術政策の概要(パンフレット)
―技術革新による強靭な経済発展基盤の構築に向けて―
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_policy/main_01.files/pamphlet.pdf
○ 経済産業省の研究開発 「技術戦略マップ2007」
http://www.meti.go.jp/policy/kenkyu_kaihatu/
「技術戦略マップ2007」が平成19年4月に経済産業省から発表になっています。技術戦略マップは、新産業 を創造していくために必要な技術目標や製品・サービスの需要を創造するための方策を示したもの。
■NEDO産業技術政策関連
○NEDO海外レポート1006号
「環境(化学物質管理、廃棄物・リサイクルなど)」 2007.9.5
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1006/index.html
○NEDO海外レポート1007号 「バイオマス」 2007.9.19
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1007/index.html
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