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概要歩み研究体制委員会
成果普及についての考え方

平成16年2月12日  
財団法人マイクロマシンセンター

 1.システム運用に対するニーズ
 
 MEMS用設計・解析支援システムの運用に対する主なニーズは以下の通り。これらのニーズを踏まえつつ、成果普及のための適切な仕組み作りが必要となる。
  • MEMSの初心者にも利用しやすいようにシステムの使用料金を適切な水準とすること。
  • ユーザー要望を反映して迅速にシステムの更新を行うこと。
  • 材料DB/知識DBについては、産学官の連携により常に最新状態を維持すること。
  • システムのプラットフォームをオープンなものとし、大学研究者、ソフトベンダー等のサードパーティによる新規モジュール(外部ソフト)の開発を促すこと。
 2.システム運用のための財源確保
 
 システム(ソフト、知識DB及び材料DB)の更新のための財源確保が重要。プロジェクト終了後は運用のための国/NEDOからの予算手当が困難であることを前提に、自主財源で運用可能なビジネスモデルを構築することが必要となる。
自主財源としてはシステムの利用料金から充当することになるが、一方では国/NEDOの受託事業であることを勘案し、次のように考えたい。
  1. システム開発の3年目には検証のためα版を利用者に頒布することになるが、この場合は無料で公開する。提供方法は今後検討する。          
  2. プロジェクト終了後すなわち4年目には研究開発成果であるβ版のシステムが完成し、速やかに利用者に頒布される。このときも、国/NEDOの予算を用いて開発していることから無料で提供すべき。 
  3. 以降、商用版として、随時(例えば毎年)ユーザー要望を反映してシステム更新(ソフト改良、DB追加など)を行い、バージョン1.0、2.0、…… が作成されるが、この時点からシステム使用料は有料となる。 
  4. また、システム使用料とは別にシステムのサポート・トレーニング等のための費用が発生するため、この費用に対応するサポート料金が必要となり、当初のβ版のシステムから有料となる。3)および4)の利用料金がシステム運用の主な財源となる。
  5. 利用料金(使用料+サポート料)の水準は、国/NEDOプロの成果であることや多くのMEMSユーザーへ利用促進を図る必要があることから、安価に設定すべきと考える。
 3.利用者の拡大
 
 上記の自主財源のビジネスモデルが成立し、円滑にシステム更新を継続するためには、相当数の利用者の確保が必須であり、このための利用者の拡大策の検討が重要となる。
 
【利用者拡大策の例】
  • MEMSファンドリーサービス産業委員会と連携し、このシステムをMEMSファンドリーサービスの提供事業者と利用者が共通に使用する設計・解析用のプラットフォームとして採択するように働きかける。
  • 大学のMEMS関係教室において、教育・研究用の標準システムとして使用する。また、大学等の研究者がこのシステムを用いた研究論文を発表する際に、このシステムの名前を記載するように働きかける。
 
 4.産学官の協力体制の継続
 
 システム開発に際して構築される大学、産総研、ファンドリー企業等の産学官の協力関係の継続が必要。プロジェクト終了後においても、産学官連携による知識DB/材料DBの更新が重要である。
  1. 特に大学は、最先端のMEMS開発の研究過程から発生する知識・ノウハウを継続して知識データベースに提供することが求められる。
  2. また、産総研およびファンドリー企業は、協力してMEMSプロセスに関する材料データを取得し、材料データベースに提供することが求められる。

 
 5.外部ソフトの重要性
 
 今回のプロジェクトで開発されるシステムは予算上の制約もあり、(一部に先進的な機能モジュールも含むが、)多くのMEMSユーザーがひと通りMEMS設計・解析ができるような基本的な機能が中心であり、また対象となるMEMSデバイスやプロセスも限定的にならざるを得ない。言い換えれば「MEMS設計・解析を支援する基本的なプラットフォーム」として位置づけることも出来る。
 
 このような事情もあって、将来の機能強化、システム拡張を確保するため、今回のプロジェクトでカバーできないMEMSデバイスやプロセスの開発を支援する新規のシミュレータ(外部ソフト)については、基本的なプラットフォームに容易にプラグインできるような仕組みになっており、利用者から見ればこれらの外部ソフトも一体化して利用することができる。
 
 従って、様々なニーズに対応する外部ソフトの豊富なメニューが用意されることが望ましく、プロジェクトの進行と並行して基本的なプラットフォームとのインターフェースを積極的に公開しつつ大学の研究者やソフトベンダーなどのサードパーティに協力を呼びかけ、プラグインソフト(外部ソフト)の開発・登録・提供を働きかけることが重要となる。
 
 一方、これらの外部ソフト群は自前の開発になるため、原則的には有料で利用者に提供されることになる。従ってサードパーティ側から見れば、有料のプラグインソフトとして提供することにより、全体システムの利用者(マーケット)を相手にすることが出来、ビジネスチャンスが広がることになる。
 
【期待される外部ソフトの提供者】
  • 科学技術分野が得意なソフトベンダー
  • 大学等のMEMS研究者
  • 関連する国/NEDOプロジェクト
 6.サポートセンターの設置
 
 産学官の連携を確保しつつ安定的にシステム更新を継続していくため、公的機関にサポートセンターの設置が必要。プロジェクト期間中にもプロジェクト参加者が中心となってサポートセンターづくりが求められる。
 
 サポートセンターはユーザーからの改良要望を受け、ソフトベンダーや大学、産総研、ファンドリー企業等と協力してシステム(ソフト及び知識/材料DB)の更新を行い、ユーザーに対して迅速に最新システムを提供し、適切なサポートを行う。また、外部ソフト充実のためサードパーティ(大学の研究者、ソフトベンダー、関連する国/NEDOプロ等)との連携を強化する。
 
 



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