1 ICMENS学会報告
ICMENS 2005(The International Conference on MEMS, NANO and Smart Systems
2005)が、7月24日(日)から7月29日(金)までの期間、カナディアンロッキーの麓・アルバータ州、バンフのバンフパークロッジにて開催されました。“ICMENS”はMEMS、NANOとスマートシステムに関する国際会議で、MEMS、NEMS、Nanotechnology、に関係する広範囲分野の研究者が一堂に集まり、お互いの研究成果を発表することで相互に触発されることを狙いとした学会です。
この会議は2003年から同じくカナダのバンフで始まり毎年開催されていますが、(財)マイクロマシンセンターからの参加は今年が始めてとなります。
会議出席者は150名ほど、地域別では圧倒的に北米(特にカナダ)からの出席者が多く全体のおよそ70%程度、あとは欧州15%程度、アジア(日本を含む)15%程度、という状況でした。発表はすべて口頭発表で基調講演を含め合計130件程度と、出席者150名の殆どが発表者であり活発な討議の場となっていることが伺えます。発表としては、会議名のとおり、MEMS、NEMS、Nanotechnology、スマートシステム、と多岐に渡る分野からロングレンジでみた基礎研究に関する内容が多く、大学など研究機関からの発表が大半を占めていました。過去3年間の出席者数推移は初年度2003年は約130名、2004年は約300名、2005年は約150名であり昨年は大幅に増加していたようですが、今年はまた減少している模様です。
この会議の大きな特徴としてカナダ、アルバータ州の機関、例えば、National
Research Council Canada、National Institute for Nanotechnologyなどが積極的にサポートしている点が挙げられます。 その関係もあってか、他のMEMS関連学会に比べて宇宙に係わる、各種特殊センサーに関する発表が多いという印象を持ちました。なお、発表形式は3~5会場(各々、30~70名程度収容)に分かれてのパラレルセッション、合計31セッションが行われましたが、それぞれのセッションでは出席者≒発表者でもあることから、とてもコンパクトではありますが、発表に関してより専門的な技術討議がなされているという印象を持ちました。
2 COMS2005報告
マイクロナノテクノロジー(MNT)産業の活性化に関する課題を討議する国際会議COMS2005が8月21日から8月25日にドイツ黒い森にある代表的な高級温泉保養地バーデンバーデンで開催されました。
この会議は、主にヨーロッパ、北米におけるMEMS産業に係る主に産官の関係者がその産業化に関する問題を提起し議論するもので、毎年両大陸の主要都市を交代で開催されており、今年は10回目になります。マイクロマシンセンターでは昨年から出席して、MEMS・マイクロマシンの産業化に重要な議論がされているという認識をもって今年も参加しました。
今年の出席者は270人余り、発表件数は140件余り、と全体の1/2は報告者の充実した議論の場となっているようです。1984年第1回の出席者80人余りと極めて小規模な国際会議であったが、昨年の北米での開催では340人の出席が見られに至り、毎年確実に参加者が増えています。但し、ヨーロッパでの開催は北米の2/3強の傾向を示し、主力が北米にあるようでした。今回の出席者の内訳はヨーロッパ:北米:アジア=65:25:10であり、ヨーロッパでの産業活性化の議論の場となる内容でした。
会議は、バーデンバーデン女性市長Dr. S. Langの歓迎の挨拶から始まり、バーデンバーデンは長い歴史の中で国王や貴族、皇帝などの高級保養地として栄え、古くから政治の裏舞台となっており、今回のCOMSにも期待したい旨の挨拶がありました。
また、ドイツ文部科学省からドイツでのマイクロ、ナノテクノロジーを重要な産業として認識し国としての投資の潤沢さを宣言していました。イノベーションからその生産技術開発を含め集中的な支援をプログラムとして持っていることを表明していました。
キーノートセッションやプレナリィーセッションのテーマは、いわゆるマイクロ、ナノの産業としての課題が大半を占め、総じて、産官学の連携を強調し、ベンチャー起業家や幅広い企業への支援活動の強化、例えばコマーシャリゼーションセンターの実効性の強調によりその創設などの必要性を訴えているのが印象的でした。
これと関連して、ヨーロッパにおいて地場産業でのMNTの積極的な産業化の推進が印象的でした。従来MEMS産業化からは遠いと考えていた、ミクロな機構部品を製品化していこうという地道な活動が、良好な国家的支援の下に育まれているようです。スイスでの、時計関連産業へのパーツ供給の例はまさにそれを現していました。また、今回ドイツ国立機関であるカールスルーエ研究所へのテクニカルツアーが付随していましたが、広大な敷地の中で、LIGA発祥の地としてのパーツとしての産業化への地道な取り組み、金属材料、セラミック材料のユニークなマイクロ加工による機械や熱交換器部品への取り組みなど、半導体以外の部品としてのアプローチはマイクロマシンとしての今後の取り組みの必要性を感じました。
3 ナノインプリント加工解析システム開発のNEDO採択
現在NED0委託事業で推進中の「MEMS用設計・解析支援システム(MEMS-ONE)開発」プロジェクトにおいて、7月1日付けで「ナノインプリント加工・解析システムの開発」を加速財源として採択いただきました。内容としては、熱・光ナノインプリント加工解析システムの開発と関連する知識・材料データベースの構築から成ります。
近年、MEMSの応用分野が拡大し、ナノサイズの構造をリソグラフィー技術を用い無いで、より安価に加工することが可能なナノインプリント加工の基礎研究と応用研究が進展し、ナノインプリント加工で、マイクロ・ナノ構造をより簡便に大量に作製することが可能となり、従来のLIGAなどのプロセスに代わる可能性が高い技術です。この加工分野は、プレス加工メーカーや樹脂メーカーが中核であり、MEMS・NEMS分野をこれまでのリソグラフィー関連装置分野以外に拡大するものであり、新たな産業創成に繋がるものと期待されます。また、ナノインプリント加工が金型・プレス・樹脂という分野が中心であることから、日本が圧倒的な技術蓄積と産業を有しており、ナノインプリントの利用技術は急速に国内で発展しつつあります。
このような背景のもと、MEMS-ONEの利用拡大と既存の欧米の設計解析システムとの差別化の観点から、ナノインプリント加工の解析機能と解析に必要な材料データベースの構築に努めます。
1 第1回MEMSにおける規格化戦略に関する調査研究委員会の開催
平成17年度第1回MEMSにおける規格化戦略に関する調査研究委員会 (委員長:石川 雄一 独立行政法人産業技術総合研究所)が8月24日(水)に開催されました。
本委員会は(社)日本機械連合工業会からの委託事業で企業9社と大学・研究6機関で構成されています。本委員会ではMEMS関連技術に関して今後の標準化・規格化を戦略的に行うために必要となるロードマップ策定を目的とします。今年度はMEMSユーザー、MEMSメーカー、大学・研究機関などからのアンケート調査結果をベースにニーズに基づいた調査研究を行うことで合意されました。
なお、本委員会の委員構成は次の通りです。
委員長 石川 雄一 (産業技術総合研究所)
委 員 高島 和希 (熊本大学)
佐々木 実 (東北大学)
生津 資大 (兵庫県立大学)
大和田 邦樹 (国際標準化工学研究所)
高木 秀樹 (産業技術総合研究所)
江上 洋一 (株式会社 アルバック)
池上 尚克 (沖電気工業株式会社)
佐野 浩二 (オムロン株式会社)
緒方 雅紀 (オリンパス株式会社)
光岡 靖幸 (セイコーインスツル株式会社)
古賀 章浩 (株式会社東芝)
安池 則之 (松下電工株式会社)
田口 元久 (三菱電機株式会社)
加藤 知香子 (横河電機株式会社)
2 第2回国内外技術動向調査委員会の開催
第2回の国内外技術動向調査委員会(委員長:早稲田大学 庄子習一教授)が8月31日(水)に開催されました。
当委員会は、マイクロマシンに関する国内外の最新かつ詳細な情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的としています。
今回は、上期の技術動向調査として、"TRANSDUCERS’ 05" の発表内容を分類し、動向調査を行った結果が報告されました。
" TRANSDUCERS"はマイクロセンサ、マイクロアクチュエータに関する最先端の研究開発事例が発表される国際会議で、1981年にボストン(米)で第1回が開催されて以来、隔年に開催されている。今回の"TRANSDUCERS’ 05"は13回目の開催に当たり、韓国・ソウルにて2005年6月5日~9日の間で開催されました。口頭発表199件、ポスター発表315件,招待講演15件と基調講演3件を含めて合計532件の発表がありました。発表内容の詳細は、年度末に発行する報告書にまとめるとともに、当センターホームページのマイクロマシンデータベースの分野別研究開発動向に掲載する予定です。
3 MEMS-ONE関係委員会(NEDO委託研究)の動き
(1)第8回知識DB委員会、第9回材料・プロセスDB委員会、合同委員会の開催
第8回知識DB委員会(委員長:京都大学 小寺秀俊教授)および第9回材料・プロセスDB委員会(委員長:産総研
前田龍太郎氏)の合同委員会が8月23日(火)に東京国際フォーラムG602会議室において、開催されました。
知識DB委員会では、「知識データ登録ソフト」を用いて登録した事例データの知識DB画面イメージの確認や操作手順の説明に基づく意見交換が行われ、今後はデータ登録をより活発化していくこととしました。
次回の開催は、10月31日(月)を予定しています。
一方、材料・プロセスDB委員会では、材料・プロセスデータの整理状況、プロセスDBマップの見直し、材料データの登録方法等についての説明ならびに意見交換が行われ、知識DB同様、データの取得・蓄積を活発化していくこととしました。
次回以降は、材料メーカの候補先の決定、材料データ登録形式の決定等について検討を進めることとし、開催は、9月27日(火)を予定しています。
(2)第11回ソフトウェア委員会の開催
第11回ソフトウェア委員会(委員長:オリンパス 三原孝士氏)が8月23日(火)に東京国際フォー ラムG60 2会議室において、開催されました。
今回の主な議題および検討内容はつぎのとおりです。
(1)機能検証デモの実施について
今回からは開発の進行に合わせ、デモ可能な機能から順次検証して、早期に意見や要望を反映することを狙いとしたデモの実施を計画しています。第1回目の今回は、下記のデモを実施し、意見交換を行いました。
・フレームワークソフトの主要画面デモ
・プロセス解析ツールに対応する既存シミュレータ(ウェットエッチング、ドライエッチング)デモ
以上の検証デモから、幾つかの改善点が提起され、今後これらの改善点について検討していくことになりました。
(2)ナノインプリント加工・解析システムについての検討
MEMS-ONEの新たな開発項目として「ナノインプリント加工・解析の開発」が7月1日付けで承認され、MEMS-ONEに組み込むことになりました。これに伴い、本開発についてもソフトウェア委員会において検討していくこととし、その第1回として次の内容についての説明ならびに意見交換を行いました。
・全体概要
・加工解析シミュレータの開発について
・フレームワークソフトの改修について
次回は10月17日(月)に開催し、第2回機能検証デモが中心となる予定です。
1 第5回マイクロ・ナノ先端技術交流会の開催案内
ご好評いただいておりますマイクロ・ナノ先端技術交流会の第5回開催は下記のとおりです。申し込み等の案内は会員企業等へメールで連絡すると共にホームページでご案内いたしますので、ご参加方よろしくお願いいたします。
記
開催日時 : 平成17年9月21日(水)15:00~17:00~18:30
開催場所 : MMC会議室
講 師 : 大阪大学(院)工学研究科機械工学専攻
教授 竹 内 芳 美
講演題目 : 「超精密マイクロ切削加工とナノシステムへの応用」
参加費用 : 賛助会員 1,000円/人
一 般 5,000円/人
2 センターの人事異動
平成17年8月15日付
(氏名) (新) (旧)
廣部嘉道 松下電工(株)へ復帰 調査研究部長
小池智之 調査研究部長 調査研究部次長
平成17年9月1日付
廣部嘉道 MEMSシステム開発 採用
センター長
安達淳治 調査研究部次長 松下電工(株)
1 平成18年度経済産業省の概算要求等について
経済産業省は、8月29日に平成18年度の重点施策を中心とした予算要求、税制改正意見等をまとめ、公表しました。当センターに関係した予算要求については、「平成18年度産業技術関連予算要求の重点」の中で、「ものづくり“monodzukuri“日本を支える高度部材・製造技術開発」として、高集積・複合MEMS製造技術開発について15億円の新規要求、MEMS用設計・解析支援システム開発について、4億円(前年と同額)を要求しています。
情報入手: http://www.meti.go.jp/policy/sougou/yokessan/050829-0.html
1 当センター主催のイベント
・詳細は当センター調査研究部にお問い合わせ下さい。Tel : 03-5835-1870
(1)マイクロ・ナノ先端技術交流会
開
催
日: 2005年 9月21日(水)15:00~
開催場所: (財)マイクロマシンセンター会議室
(2)第16回マイクロマシン展
開 催 日: 2005年11月9日(水)~11日(金)
開催場所: 科学技術館・東京北の丸公園
(3)第11回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの開催
開 催 日: 2005年11月10日(木)
開催場所: 科学技術館(東京都千代田区北の丸公園2番1号)
2 その他のイベントのお知らせ
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